勝率が誤解を招く指標である理由
成功率は勝率とも呼ばれ、トレーディングシステムが利益の出る取引をどれだけの頻度で生み出すかを測る指標です。計算が容易で心理的にも満足感が得られます。ほとんどの人は、間違うよりも正しいことの方が多いシステムを好みます。情報源は、システムを主に成功率で評価することは単純化しすぎたアプローチであると指摘しています。あるシステムが取引の90%で正しくても、十分に多数の取引で使用すると損失を出す可能性があります。その理由は、勝率が勝ちと負けの相対的な大きさについて何も語らないからです。システムが頻繁に小さな利益を上げるが、時折はるかに大きな損失を被る場合、頻繁な勝ちは一度の不利な結果によって帳消しにされる可能性があります。例えば、+0.1Rを9回勝ち、-2Rを1回負ける一般的なシステムは、勝率90%ですが、純結果は-1.1Rとなります。逆もまた可能です。勝率が低いシステムでも、平均的な勝ちが平均的な負けよりもはるかに大きければ利益を出すことができます。例えばトレンドフォローアプローチは、多くの小さな損失を許容しながら、いくつかの大きな利益を狙うことがよくあります。勝率はまた、取引の順序、ドローダウン、機会の数を無視します。10回の取引での90%の勝率は、1000回での90%と同じではありません。そして、悪いタイミングでの連敗は、トレーダーにシステムを放棄させる可能性があります。したがって、成功率は記述的な統計量であり、システムの質を完全に測るものではありません。一つの入力として有用ではありますが、コスト後の正のエッジがあるか、そのエッジが安定しているか、それを実現するためにトレーダーがどれだけのリスクを受け入れる必要があるか、といった問いに答えることはできません。
期待値:正確性を超えた最初のステップ
期待値は、勝率とペイオフを一つの平均に組み合わせることで、勝率を超えた評価を可能にします。R倍数の用語では、期待値は初期リスクの単位で表される取引あたりの平均結果です。一般的な計算式は、期待値 = (勝率 × 平均勝ちR) − (負け率 × 平均負けR) です。システムが40%の確率で勝ち、平均勝ちが+3Rで、60%の確率で負け、平均負けが-1Rの場合、期待値は (0.40 × 3) − (0.60 × 1) = 1.2 − 0.6 = +0.6R となります。これは40%の勝率だけよりも情報量が多くなります。しかし、情報源は、平均期待値が高いシステムが自動的に優れているわけではないと警告しています。取引あたり平均+2.3Rのシステムは、平均+0.4Rのシステムよりも優れているように見えるかもしれませんが、答えは保証されません。期待値は平均であり、平均は重要な詳細を隠すことがあります。取引頻度、結果の分布、ドローダウンの大きさと期間、推定値の信頼性などです。高期待値のシステムは取引が稀である可能性があり、一定期間に生み出す総Rが少なくなることを意味します。また、ファットテールな結果を持つ可能性もあり、少数の大きな勝ちが平均を支配します。それらの外れ値を除くと、エッジが消えるかもしれません。推定誤差も重要です。小さなサンプルで測定された正の期待値は持続しないかもしれません。さらに、期待値は、分布内で発生する連敗を生き抜くために必要な資本の量を示しません。したがって、期待値は有用な構成要素ですが、最終的なスコアカードではありません。それはシステムが平均して取引あたりどれだけ稼ぐかに答えるものであり、その平均がどれだけ滑らかに、どれだけ頻繁に、どのようなリスクで達成されるかではありません。
一定期間の総R
評価のもう一つのレベルは、システムが一定期間にどれだけのRを生み出すかを問うことです。取引あたりの平均Rだけを見るのではなく、トレーダーは月末、四半期末、年末の総Rでシステムを比較できます。情報源は、システム1が1ヶ月で20Rを返し、システム2が30Rを返すシナリオを提示しています。システム2の方が良いと仮定するのは自然ですが、情報源は、答えは必ずしもそうとは限らないと述べています。より高い総Rは、より大きな変動性を伴う可能性があります。例えば、システム2は平均30Rを生み出すが、30%の期間で負の期待値になる一方、システム1は平均20Rで、負の期間がほとんどまたは全くないかもしれません。目標が安定した資本成長である場合、より低いリターンでもより一貫性のあるシステムが、トレーダーの目的とリスク許容度によっては好ましいかもしれません。一定期間の総Rは、取引あたりの期待値、取引回数、結果の変動性という3つの主要な要素に影響されます。期待値が低くても機会がはるかに多いシステムは、頻繁に取引しない高期待値システムを上回る可能性があります。逆に、長いアイドル期間を持つ高期待値システムは、カレンダー上では劣るかもしれません。期間も重要です。月間合計は1つか2つの大きな勝ちに支配されることがありますが、年間合計はその効果を平滑化するかもしれません。情報源の要点は、総Rはポートフォリオレベルの結果であり、単なる取引レベルの統計ではないということです。それは機会、ポジションサイジング、リターンの経路を反映します。文脈なしに平均や総Rだけでシステムを比較すると、リターンストリームがトレーダーの資本と心理にとって変動が大きすぎるシステムを選ぶことにつながる可能性があります。
変動性と経路依存性
変動性は、結果が平均の周りにどれだけ広がっているかを表します。2つのシステムは同じ期待値を持ちながら、非常に異なるリスクプロファイルを持つことがあります。一方は小さな利益と損失の安定した連続を生み出すかもしれません。もう一方は長い平坦な期間の後に大きな急騰と深いドローダウンが続くかもしれません。情報源は変動性を強調しています。それは、正の期待値が実際に実現できるかどうかに影響するからです。平均が正のシステムでも、損失の連続が利用可能な資本に対して深すぎる場合、またはトレーダーがドローダウン中にシステムを縮小または放棄する場合、破滅につながる可能性があります。変動性は、標準偏差、最大ドローダウン、最長連敗、リターン分布の形状などで測定されることがよくあります。歪度と尖度が重要です。負の歪度は稀な大きな損失を意味し、正の歪度は稀な大きな利益を意味します。例えばトレンドフォローは、勝率が低く正の歪度を持つことがよくあります。それは少数の大きなトレンドに依存するからです。平均回帰アプローチは、勝率が高く負の歪度を持つことがよくあります。多くの小さな利益を集めるが、時折大きな損失を被る可能性があるからです。どちらのプロファイルも本質的に優れているわけではなく、それぞれ異なるポジションサイジングと心理的許容度を必要とします。経路依存性ももう一つの側面です。同じ最終総Rであっても、取引の順序がトレーダーが生き残れるかどうかを決定することがあります。20Rの利益の後に15Rのドローダウンが続く場合と、最初に15Rのドローダウンが来る場合では異なります。2番目の経路はマージンコールを引き起こしたり、強制清算を強いる可能性があるからです。したがって、システムを評価するには平均以上のものが必要です。結果の分布、最悪のシナリオ、そしてそれらが資本、レバレッジ、ポジションサイズとどのように相互作用するかを理解する必要があります。変動性は副次的な問題ではなく、システムの期待される行動の核心部分です。



